初夏の小さな旅

2024年05月25日

この週末は両親と一緒に初夏の山梨県韮崎から長野県蓼科を巡ってきました。爽やかな快晴のお天気に恵まれ充実し3日間でした。

初日は新潟から新幹線で両親が上京。東京駅ホームで私と合流をして新宿からあずさ号に乗り、韮崎駅に下車しました。駅でレンタカーをピックアップ、まずは韮崎大村美術館へ向かいました。

韮崎市出身で2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が長年に渡って蒐集してきた美術品を基に2007年に設立され、コレクションは女性作家による作品、日本近代の洋画家・鈴木信太郎作品、日本の民藝運動を伝える陶磁器作品を主な柱とし、現在約4,000点を収蔵されています。

マッターホーン、神田志乃多寿司 ・・・身近な包装紙などでも知られる画家・鈴木信太郎の記念室があり油絵、水彩画は300点、スケッチブックは500点を有しています。前回訪れた時と違うまた新しい作品に出会えました。

温かく自由で素朴な絵柄が魅力で、両親も小さな美術館へ来てよかったと大満足のようでした。

この日は大村美術館からどこへも寄らず宿泊先の八ヶ岳高原ロッジへ。夜になると暖炉に火が必要な冷え込みになり、翌朝はロッジの散歩道を歩きながら小さなすみれの花を見つけました。

ロッジのチェックインを終えて、翌日は八ヶ岳倶楽部へ車を走らせました。創業者の柳生博さんが長い年月をかけて広葉樹の木々を移植し、枕木の小径を作られ自然豊かな森へ再生。新緑と木漏れ陽の中、近くで鳥たちが飛び交い囀り清々しく心休まる空間に癒されました。

八ケ岳倶楽部から一路蓼科高原・バラクライングリッシュガーデンへ。途中、富士見の八ヶ岳鉢巻道路は両脇のつつじの花が美しく快適なドライブを楽しみました。ケイ山田さんが日本初の本格的英国庭園を蓼科高原に開園して34年、木々も大きくなり当初の理想に近づいていると書いてありました。約5000種類の植物の組み合わせをデザイン、庭を作り続ける時間軸は多くの訪れる人々を魅了し続けています。

庭園はモッコウバラ、藤の花、アリウムが満開のシーズン、春に再び季節が戻ったようで、バラの枝葉は艶々と蕾がふっくらして6月のガーデンも来たいなーと後ろ髪をひかれる思いでした。

2日目は蓼科の森に佇む洋館、40年以上の歴史があるクラシックホテル・蓼科東急ホテルへ宿泊。初日の八ヶ岳高原ロッジの音楽堂は建築家・吉村順三氏が設計、蓼科東急ホテルは藤森照信氏が設計であり、自然との調和、年月を経てさらに品格を増す落ち着いた空間は建物ファンの一人として満喫した旅の滞在でした。

高齢の両親との旅程は欲張らず時間に余裕を持ったスケジュールを組み、人混みはなく、車の渋滞もなく初夏の小さな旅を楽しんだ3日間でした。旅のお土産は鈴木信太郎手ぬぐい、絵はがき、信州まるごとりんごジュース、くるみやまびこ。

「明日からがんばるー」と新潟へ帰宅した両親からメッセージが届き、また来年も知的な小さな旅ができたらと思っています。