本その4

あの大震災から10年になるのに、昨夜福島・宮城県を中心とした震度6強の大きな地震。東京もかなり揺れました。すぐに飛び起きて猫のルイ君を抱きしめてしばらく眠れませんでした。

そんな時生活に欠かせないのがラジオ。いつも私の相手をしてくれます。毎週楽しみに聴いている番組が幾つかあります。その中のひとつNHK「高橋源一郎の飛ぶ教室」です。聞き逃しもあるから助かっています。毎週一コマ目は「ヒミツの本棚」でおすすめの一冊を紹介するコーナー。2コマ目は「きょうのセンセイ」でその道のスペシャルなゲストが登場します。

先日翻訳家・岸本佐知子さんの「死ぬまでに行きたい海」が紹介されました。岸本さんの翻訳されたルシア・ベルリンの「掃除婦のための手引き書」に衝撃を受け、翻訳家ご本人に興味を持ちました。

”鬼”がつくほどの出不精を自認する岸本さんが、それでも気になるあれこれに誘われて、気の向くままに出かけて綴った22編がおさめられています。行く先々で出会う風景と脳裏をよぎる記憶があざやかに交錯。ほぼ同じ時代、胸に響いた章は富士山、赤坂見附、多摩川・・・

どこかアルバムの中の懐かしいセピア色の写真を思わせる見聞録。今はポジティブですぐにつながろうが重要視される時代だけど、この本は寂しさや静けさがもたらす安らぎを感じさせてくれる。