めぐり、また歩き出す -還暦の小さな旅-
先週末、還暦という節目を迎え、ひとり旅に出ました。
にぎやかなお祝いよりも、静かにこの時間を迎えたい。そんな気持ちが自然にそうさせたのだと思います。向かったのは伊勢神宮。これまでの歩みへの「お礼参り」です。
森に包まれた参道を歩いていると、木々の間からこぼれる光や、足元の玉砂利の音ひとつひとつが、なぜか胸にしみてきました。若い頃は「これから何をするか」ばかり考えていたけれど、今は「ここまで来られたこと」そのものが、すでに十分にありがたいことなのだと、振り返る自分がいました。思うようにいかない時期も、迷いながら選んできた道も、どれも無駄ではなかったのだと、木々に囲まれながら、そっと感じるような時間でした。
ちょうど前回の式年遷宮から12年ぶり。五十鈴川には冬の光が映り、キラキラと輝いていました。
20年に一度の式年遷宮、2033年へ向けて、今年はお木曳などの行事も予定されています。
途中で立ち寄った外宮近くの「カミノコーヒー」で、温かいコーヒーをいただきながら、若い店主とゆっくり語らい、旅先でのよい時間を過ごしました。
翌日、60歳の誕生日は、山中とみこさん・月浪(名古屋)でのお茶会「相席いかがですかーVol.2」へ。心のこもったお菓子と、丁寧に点てられたお茶をいただきながら、ただ「味わう」ことに身を委ねるひととき。お庭の蹲からの冬の光が室内の天井に反射して、それは美しい世界。
湯気の向こうに広がるやわらかな空気に、仕事が続けられていること、お茶を通して出会えたすてきな人たちがいること、季節ごとに同じようでいて同じではない時間を重ねてこられたこと。その一つひとつが、静かに胸の中でつながっていくようでした。
還暦という言葉には、「一巡して、また新しく始まる」という意味があると聞きます。何かを大きく変えたいわけではないけれど、これからは、もう少し自分の歩幅を信じて、無理のない速さで、一歩一歩。そんな気持ちが、今回の旅の中で、自然と形になった気がします。
帰宅すると、親友のMちゃんとKちゃんから、真っ赤な花束とブーケが届いていました。思いがけない贈りものに胸がいっぱいになって、離れていても祝ってもらえることのうれしさと同時に、こうして気にかけてくれる人がいることが、ふんわり、あたたかく沁みてきました~
両親への感謝と、そしてこれからの日々への小さなできごと。私にとって、とても大切な節目の旅になりました。めぐってまた新しい一歩がはじまった、そんな週末でした。
今日は立春。暦の上では、もう春です。
